Marco Di Marco Trio / At The Living Room (Arion) '05


Marco Di Marco(p,ep) Jacky Samson(b) Charles Saudrais(dr)
05年の再発で、僕のようなクラブ・ミュージック系のリスナーから支持されたイタリアのピアニスト。オリジナルは73年、Modern Jazz Recordより。本作はパリで録音された「パリ三部作」と呼ばれる作品群の2枚目に当たるもので、リズム隊には仏のピアニスト、Georges Arvanitasのバック・メンバーを従えています。近年再評価されているようなイタリアのジャズというと力強いハード・バップのイメージが強いですが、彼の作品はワルツやモードによる柔和な楽曲が多く(もちろん年代的な関係が大きいのですが)、さらりと聞き流せるあたり、むしろ今現在のイタリアン・ジャズの感覚に近い、と言えるかもしれません。確かに気品溢れる彼のプレイはこの盤の醍醐味の一つですが、そんな評価で終わらせてしまうにはあまりにももったいない。ドラムはクラッシュを多用し、それは高音が抜けるような録音状態と相まって素晴らしいリズムを響かせます。ベースは躍動感に溢れ、これがピアノ・トリオだとは思えないような主張を続けます。トリオという少編成のためその一音一音は剥き出しにされ、そして同時にその相互作用が鮮やかなほどはっきりと見て取れるのです。トリオの機能美を意識するきっかけになった、大切な1枚。そしてこの盤がピアノ・トリオの一つの極致であると、信じて止みません。