Anders Ilar


ダンス・ミュージックとしての07年は、ディスコ・ダブが死に、ダブ・テックやクリック/ディープ・ミニマルへと趨勢が向かった年でした。個人史的に言うと、そのダンス・ミュージックの影響やドローン/アヴァンギャルドへの偏向で、エレクトロニカ嫌いが克服できた年でもあります。そんな07年、最も良かったクリック/ディープ・ミニマル作品が、audio.nlの10周年記念盤。Kompakt配給の古参レーベルではありますが、日本では人気がまるでない、それでも一部の物好きから熱狂的な支持を受けている、そんなレーベル。僕もそれまで全く知りませんでしたが、箱栄えこそ薄そうなものの、ディープ・ミニマルの最深部を直走るようなクールでストイックな音響には圧倒されました。そんなaudio.nlのコンピに参加していたAnders Ilarのライヴ動画。エレクトロニカの巣窟Merckや、今を時めくEchocordなどからもリリースしている人です。コンピではまるで音が球体を成して飛散していくようなノン・ビートの実験音楽を聞かせてくれていますが、動画はエレクトロニカ寄りクリック・テクノ。ちょっと編集されててアレだけど。まあそもそも音質的な制約が大きい動画というフォーマットは、クリック/ディープ・ミニマルには向かないんだよね。